
当店では2020.7.25(土)より愛知県岡崎市のギャラリー masayoshi suzukiで開催される小川節男展 明日なき我が身に合わせて期間中、店頭でもオリジナルプリント1点の展示、書籍の販売のフェアを開催いたします。ぜひ展示会と合わせ足をお運びください。
展示会情報
2020年7月25日(土)~8月10日(日) 開廊時間/ 12:00 – 19:00[毎週月・ 火・水曜日休廊]
脳出血で倒れて約13年。そして「末期の胃がん」で余命1年と宣告されたのが去年の4月。今では、頭も右半身も内蔵も、すべてイカレてしまった。 そんなぼくが、「明日なき我が身」という写真集を多くの方々の援助によって出せることになりました。いまのぼくは、足をひきずりながらでも写真がとれるのかといったら、かなりむずかしい。カメラマンは歩けなくなったら終わりである。 痕跡を残しておきたいと思った。少なくとも写真集はぼくが死んだあとも残る。今回の写真集の中の写真は、すべて脳出血で倒れてからのものだ。縦位置の写真が一枚もないのは、横位置しか撮れないからだ。首からカメラをさげて、杖をついて足を引きずって写真を撮った。 『写真とは何か』。結局わからなかった。ただ、写真というのは必ず、その写真を撮っているぼくがこちら側に居るということ。ぼくの存在が想像できるのだ。ぼくがやられた左脳は理論的なこと、残った右脳は感覚的なひらめき、と聞いたことがある。カメラマンにとっては少しの救いではあった。 自分で言うのもなんだが、名写真集「混沌を往く」、自家版「NEW YORK」「重慶」、そして今回の「明日なき我が身」。それと雑誌で撮った写真。発表をしていない写真は山ほどあるが、これがぼくの写真人生のほとんどすべてだ。個展はやったことが無い。 悔いの無い人生とか、笑って死にたいとか人は言うけれど、ぼくは最後にどう思うのだろうか。 (明日なき我が身・あとがきより 小川節男)